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1981 ​石川県生まれ

2006 ​金沢美術工芸大学美術工芸学部工芸科漆専攻卒業

2012 ​日本ジュエリーアート展2012、奨励賞受賞

2014 ​金沢卯辰山工芸工房修了                          

近年は自然や植物からのインスピレーションを得て空想標本シリーズを展開している

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漆の魅力のひとつは、観る者をその深遠な内奥へと誘う引力にある。

しかし山岸紗綾さんの場合は、引き込むというよりはむしろ、漆の内側から透明感を醸し出して魅了する。文字通り何かが透けているということではなく、素材の向こう側から透過するイマージュを私たちに見せてくるのである。

見た目の穏和な雰囲気とは少し異なり、その表現は静かな意思を潜めて受け手に語りかけてくる。自身の造形に対して強いヴィジョンを持ちながら、それを実現するために手にした素材はいつか自然界に還すものである、という気持ちを大切にしているという。

山岸さんの真摯な制作意識が、柔らかな弾力に包まれた漆の姿となって顕れているようだ。

かたちを作り上げる工程は、事物の奏でる音に耳を澄まし、感じることから始まる。

長い年月をかけて自然界で受け継がれてきた、無数に存在する色彩と質感のかけら。

そのなかから拾い上げられた一粒、一枚の断片から、光と色の関係が瑞々しくも艶やかに紡ぎ出されることだろう。

 

川北裕子(パナソニック汐留美術館学芸員)

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